小学生の本の選び方|3割超が学年目安と違う本を読む最新調査
「うちの子、3年生なのにまだ低学年向けの本ばかり読んでいるけれど大丈夫かな?」「逆に、難しそうな本を選んできたけど読めるのかな?」。子どもの本選びで、こんなふうに迷ったことはありませんか。
本の帯や裏表紙に書かれた「小学校中学年から」といった目安は、本選びの手がかりとして便利です。でも、実際の子どもたちは、その目安どおりに本を選んでいるとは限らないようです。
2026年10月14日、児童書を発行する株式会社新興出版社啓林館(文研出版)が、小学生の子どもを持つ保護者612名を対象にした「小学生の児童書の読書実態に関する調査」の結果を発表しました。この記事では、その結果をわかりやすく整理しながら、学年目安にとらわれすぎない小学生の本の選び方を、私なりにまとめてみました。
調査の概要|小学生の保護者612名に聞いた「児童書の読書実態」
まずは、調査の基本情報です。
| 調査名 | 小学生の児童書の読書実態に関する調査 |
|---|---|
| 調査期間 | 2026年8月21日〜8月24日 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 対象 | 小学生の子どもを持つ保護者(20代〜50代の男女)612名 |
| 実施 | 株式会社新興出版社啓林館 |
ここでいう「児童書」は、幼児から中学生向けの書籍全般のこと。絵本、童話、児童文学、小説、図鑑、学習まんが、伝記などが含まれ、教科書やドリル、一般的なコミック誌は含まれていません。図鑑や学習まんがも「児童書」に入っているのは、ちょっとうれしいポイントですよね。
結果1|児童書を読む小学生は57.7%。学年による差は小さめ
「子どもは普段、児童書を読みますか?」という質問に「はい」と答えた保護者は57.7%、「いいえ」は42.3%でした。
| 学年 | 児童書を読む割合 |
|---|---|
| 1〜2年生 | 58.0% |
| 3〜4年生 | 56.4% |
| 5〜6年生 | 58.6% |
学年が上がると本から離れていくイメージがありましたが、この調査では学年による大きな差は見られませんでした。
ちなみに、全国学校図書館協議会が毎年行っている「学校読書調査」の2024年の結果(国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルで紹介)では、2024年5月の1か月間の小学生の平均読書冊数は13.8冊、1冊も読まなかった「不読率」は8.5%でした。小学生のうちは、比較的よく本を読んでいる時期といえそうです。
結果2|本を選んでいるのは子ども自身が68.0%
次に、児童書を読む子どもの保護者325名に「読む本は誰が、どんな基準で選んでいるか」を聞いた結果です。
- 自分の興味や関心に合わせて子どもが自ら選んだ:43.1%
- 子どもの興味や関心に合わせて親が選んだ:14.5%
- 対象年齢や読みやすさに合わせて子どもが自ら選んだ:13.8%
- 学校や友人などのすすめで子どもが自ら選んだ:11.1%
子ども自身が選んだ割合を合計すると68.0%。学年別に見ると、1〜2年生は54.6%、3〜4年生は76.4%、5〜6年生は73.3%で、中学年になると一気に「自分で選ぶ」子が増えるようです。
そして注目したいのは、選ぶ基準のトップが「対象年齢」ではなく「自分の興味や関心」だったこと。子どもたちは、目安よりも「おもしろそう!」という気持ちで本を手に取っているんですね。
結果3|3割以上が学年目安と違う対象年齢の本を読んでいる
普段読んでいる児童書の対象年齢は、「小学校中学年向け」が33.8%、「小学校低学年向け」が32.3%、「小学校高学年向け」が24.0%でした。
そのうえで、自分の学年の目安とは異なる対象年齢の児童書を読んでいる子の割合は、次のとおりです。
| 学年 | 学年目安と異なる対象年齢の本を読む割合 |
|---|---|
| 1〜2年生 | 32.7% |
| 3〜4年生 | 36.8% |
| 5〜6年生 | 38.5% |
どの学年でも3割を超えていて、学年が上がるほど少しずつ増えています。「学年どおりの本を読んでいないのはうちの子だけ?」と心配していた方も、少しホッとできる数字ではないでしょうか。
結果4|保護者の44.0%が「読解力は学年目安と違う」と感じている
保護者に、子どもの読解力が学年目安と比べてどうかを聞いた結果も紹介されています。
- 学年目安と同程度:56.0%
- 学年目安よりやや高い:20.9%
- 学年目安よりやや低い:15.1%
- 学年目安よりかなり高い:4.3%
- 学年目安よりかなり低い:3.7%
「学年目安と異なる」と感じている保護者は合計44.0%。学年目安より高いと感じている割合は、1〜2年生で30.9%と、ほかの学年(3〜4年生22.7%、5〜6年生22.0%)より高めでした。
読む力の育ち方は、子どもによって本当にさまざま。同じ学年でも、ひとりひとり「ちょうどいい本」は違って当たり前なんですね。
学年目安にとらわれない、小学生の本の選び方5つのコツ
調査結果をふまえて、家庭で本を選ぶときに意識したいポイントを5つにまとめました。どれも今日からできることばかりです。
コツ1:学年目安は「入り口」として使う
「中学年から」といった表示は、本を探すときの目安として便利です。ただ、調査のとおり3割以上の子は目安と違う本を読んでいます。表示はあくまで「探しはじめる棚」くらいに考えて、そこから前後の学年の本にも気軽に手を伸ばしてみましょう。
コツ2:子どもの「好き」から選ぶ
本を選ぶ基準のトップは「自分の興味や関心」でした。恐竜、宇宙、動物、おばけ、料理、スポーツ…。子どもが今夢中になっていることから本を探すと、「読まされる本」ではなく「読みたい本」に出会いやすくなります。
コツ3:やさしい本を読んでいても、心配しすぎない
学年より低い対象年齢の本を読んでいても、それは「好きなシリーズをくり返し楽しんでいる」「自信を持って読める本で楽しんでいる」というサインかもしれません。読書が楽しい時間であることを、いちばん大切にしたいですね。
コツ4:背伸びしたい本は、親子で一緒に読む
反対に、難しそうな本を選んできたときは、「読めるかな?」と止めるより、わからない言葉を一緒に調べたり、途中まで読み聞かせしたりするのも一つの方法です。図鑑や学習まんがのように、絵や写真で理解を助けてくれる本も、背伸びの一歩にぴったりです。
コツ5:自分で選べる場所に連れていく
3〜4年生になると、7割以上の子が自分で本を選んでいました。図書館や書店で、子どもが自由に棚を見て回れる時間をつくると、親が思いもしなかった一冊に出会えることも。表紙を見て選ぶ、タイトルで選ぶ、友だちがすすめていた本を探す…選ぶ体験そのものも、読書の楽しさの一部です。
ジャンル別|本選びに迷ったときの探し方
具体的な本を探すときは、ジャンルから考えるのもおすすめです。ネットで探す場合は、対象年齢やジャンルで絞り込める検索ページを使うと便利ですよ。
読み物(童話・児童文学)
お話を楽しむ読み物は、シリーズものから入ると次の巻が楽しみになり、読む習慣がつきやすいジャンルです。まずは子どもの学年前後の読み物から、表紙やあらすじで気になるものを一緒に選んでみましょう。
図鑑
図鑑は、好きなテーマを入り口に、写真やイラストから知識を広げられるジャンル。調査でも「児童書」の中に図鑑が含まれていました。文章をたくさん読むのが得意でない子でも、眺めるだけで楽しめるのが魅力です。
学習まんが・伝記
歴史や科学、偉人の人生などを、まんがで楽しめる学習まんがや伝記。「まんがなら読む!」という子にとっては、知識の世界への入り口になってくれます。
まとめ|「ちょうどいい本」は、子どもひとりひとり違っていい
- 児童書を読む小学生は57.7%で、学年による大きな差はなし
- 本を選んでいるのは子ども自身が68.0%。基準のトップは「自分の興味や関心」(43.1%)
- 学年目安と異なる対象年齢の本を読む子は、どの学年でも3割以上
- 保護者の44.0%が「子どもの読解力は学年目安と違う」と感じている
- 学年目安は入り口として使い、子どもの「好き」と「読む楽しさ」を大切に
本の表示どおりの学年でなくても大丈夫。子どもが「おもしろい!」と思える本に出会えることが、いちばんの近道なのかもしれません。この秋の読書の時間が、親子にとって楽しいひとときになりますように。
参考にした情報(出典)
株式会社新興出版社啓林館 プレスリリース(PR TIMES、2026年10月14日):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000406.000032562.html
国立国会図書館 カレントアウェアネス・ポータル(同調査の紹介):https://current.ndl.go.jp/car/285977
国立国会図書館 カレントアウェアネス・ポータル(全国学校図書館協議会「第69回学校読書調査」の紹介):https://current.ndl.go.jp/car/229477




